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量的緩和解除で今後どうなるか。
2006年3月に日銀の量的緩和政策が解除されてから数ヶ月が経ちました。また、7月14日の金融政策決定会合でゼロ金利が解除されました。これから、金利はどうなるのか考えてみたいと思います。
まづは、「日銀の量的緩和政策」はなぜ導入されたのか確認します。
日銀は「銀行の銀行」です。日銀が一般の銀行にお金を貸し出すときの金利を「公定歩合」といいますが、日銀はこの「公定歩合」を通して景気をコントロールしています。
すなわち、公定歩合を下げれば、銀行は低い金利で資金調達でき、一般企業への貸し出し金利も低くなるので、企業はお金を借りやすくなり、設備投資などに使うので、景気が回復するというシナリオです。
しかし、バブル崩壊後、金利を限りなくゼロにしたのですが、このシナリオはうまくいきませんでした。そこで、次に打った手が「量的緩和」です。
「量的緩和」とは一般の銀行が日銀に持っている当座預金の口座に資金をジャブジャブ提供することです。具体的には、銀行が大量に保有する手形、債権を買い上げて、日銀内の銀行の口座預金にお金を振り込むのです。 もともと、一般の銀行は日銀内の口座預金残高合計は一定額を維持しなければならないことになっています。この最低限の残高を法定準備金といいます。これは6兆円程度ですが、量的緩和により、法定準備金の5倍程度まで残高が増えました。
日銀のシナリオとしては、日銀内の各銀行の口座預金は金利がつかないので、銀行としてはお金を寝かしていても仕方がないので、企業に貸し出すだろうと考えたのです。
量的緩和の影響かどうかは定かではありませんが、2001年3月以来行われてきた「量的緩和政策」が2006年3月に解除されました。今まで述べてきたように「量的緩和政策」が解除になったからといって金利(公定歩合)の上昇とは無関係です。福井総裁も「量的緩和は解除するが、ゼロ金利は続ける」と発表しました。 そして、冒頭に述べたように7月14日に金融政策決定会合で無担保コールレート を0.25%で推移するように促すことが決定され、ゼロ金利が解除されたのです。
今回のゼロ金利解除で、銀行からの借入れで設備投資を行っている企業には影響がでてきます。 一方、銀行からの借入れに依存していない企業には影響ないといえるでしょう。
住宅ローンは上昇します。既に住宅を購入し、住宅ローンを変動金利で組んでいる方はこれから金利負担が重くなることが予想されます(ご心配な方は住宅ローン診断をご利用ください)。これから、住宅を購入する方は住宅購入価格の見直しが必要になります。ただ、住宅販売会社も売れなければ住宅価格を下げざるをえないので、住宅ローンの上昇リスクを住宅販売会社が負うことも考えられ、この意味では、最も影響を受けるのは住宅関連業界かもしれません。
銀行や郵便局に預ける預貯金の金利は上がらないことが予想されます。金融機関にとってはそのほうが良いし、預貯金者も特に超低金利に疑問を持っていないからです。預貯金者が資産運用について勉強し、より有利(安全性も高い)な金利の高い、海外の金融商品に資金を移動し始めれば、日本の金融機関も金利を上げざるを得ないでしょう。よろしければ資産運用診断サービスをご利用ください。
by CFP新美昌也