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マネーコラム/海外旅行傷害保険の落とし穴

●海外旅行傷害保険の落とし穴についてお伝えします。

海外出国者数は年々増加傾向にあります。入国管理局の資料によりますと平成18年の海外出国者数は約1754万人を記録し、実に7人に1人が海外へ出かけていることになります。

海外旅行中にはさまざまなトラブルに見舞われる可能性があります。トラブルで一番多いのが、ひったくり、置き引き、スリなどの犯罪被害です。また、生活環境が変化しますので病気の心配もあります。このようなリスクに備えて加入しておきたいのが海外旅行傷害保険です。

●海外旅行傷害保険の補償内容

海外旅行傷害保険は海外旅行の目的で自宅を出発してから自宅に戻るまで(旅行行程中)が補償の対象です。病気・ケガでの入院や治療費が補償されるのはもちろん、現地に駆けつける家族の渡航費用、日本への移送費や身の回り品が盗難にあった場合の補償などを受けることができます。その他、24時間日本語電話医療サービスや日本語の通じる病院でのキャッシュレスサービスなどの付帯サービスがあります。



◆海外旅行傷害保険の概要
主な保険の種類 保険金を支払う場合
1.傷害保険・旅行行程中の事故によるケガが原因で、事故の日からその日を
 含めて180日に死亡した場合や後遺障害が生じた場合
・旅行行程中の事故によってケガをし、医師の治療を受けた場合
2.疾病保険・旅行行程中に病気で死亡した場合
・旅行行程中または旅行行程終了後72時間以内に発病し、旅行行程終了後72時間を経過するまでに医師の治療を受けた場合
・旅行行程中に特定の伝染病に感染し、その病気がもとで旅行行程が終了した日からその日を含めて30日以内に医師の治療を受けた場合
3.携行品損害・旅行行程中に携行品が火災、盗難、破壊などにより損害を受けた場合
4.賠償責任保険・旅行行程中に偶然な事故により他人にケガをさせたり、他人の物を壊したことにより法律上の損害賠償責任を負担した場合
5.救援者費用・被保険者が旅行行程中、行方不明、ケガ・病気による継続3日以上の入院や死亡した場合


●海外旅行傷害保険の落とし穴

保険会社、旅行会社のみならず、本来警鐘を鳴らす立場にある外務省などの行政機関なども、保険会社の宣伝文句を使い海外旅行傷害保険に加入することを勧めています。しかし、海外旅行保険に加入すればケガ・病気の備えは万全だと思うのは間違いです。

海外旅行傷害保険には重大な落とし穴があります。本稿では最も重要な「疾病保険」に焦点をあてて解説したいと思います。


1.持病の悪化には保険金は支払われません。

「疾病保険」は責任期間中に発病した疾病の治療費と死亡保険金しか対象になりません。したがって、旅行前に心臓病や高血圧、糖尿病などの既往症があり、それが旅行行程中に悪化して治療を受けたとしても、あるいは、死亡にいたったとしても保険金を受取ることはできません。その他、虫歯などの歯科疾病や妊娠関連疾患、他覚症のないむち打ち症と腰痛なども対象になりません。

では、持病が悪化して海外で治療を受けた場合、全額自己負担になるかというとそうではありません。社会保険や国民健康保険の加入者は、海外でかかった治療費(日本国内で保険診療の対象になっているものに限る)の一部を帰国後、海外療養費として払い戻しを受けることができます。海外療養費制度は、歯科治療にも適用されますので、持病以外の方も、旅行に出かける前に、自分の加入している健康保険の窓口に手続きについて相談しておくことをお勧めします。また、持病のある方は、旅行前に医師に相談し、薬と旅行用英文診断書も用意しておくと安心です。

2.24時間日本語電話サービスは緊急性のある病気には役に立たない。

下痢や風邪などの緊急性のない病気の場合は、この日本語サービスは心強いサービスです。
しかし、緊急性のある脳卒中や心筋梗塞の場合は、時間が勝負ですから、日本語サービスを利用するよりも救急車をすぐ呼ぶべきです。大切なことは、このような緊急性のある病気の場合は、設備の整った専門医のいる病院で治療を受けるべきで、「日本語が通じる」とか「キャッシュレス」などは判断基準としないことです。

3.チャーター機の利用は慎重に

保険でチャーター機が利用できるのはかなりお得な気分になるかもしれませんが、契約会社(搬送会社)が自己の利益を優先して、医学的に不必要なチャーター搬送を行うといった事例もあります。その結果、後遺症が残ったり、死亡したりするケースもあります。




●海外旅行傷害保険の落とし穴についてお伝えします。...